平和

世の中が落ち着いてきました。野菜が出回るようになりましたし、お米を食べる機会もたまにはありました。世の中、平和になって、生活も昔のように戻っていきました。

ただ、少年の家は貧しかったので、みんなのようにはいきませんでした。母親は、朝早くから働きに出、夜遅くまで戻ってきません。それで、少年は妹たちの世話を見ながら、食事の支度もしなければなりませんでした。それに、月末になると、お金がたりなくなり、近くのおばさんの家へ行って、「おばさん、お金、少し貸してくれない」と、頼みに行くこともありました。いつも、母親が月給をもらってくれば、しっかり返していましたから、嫌な顔はされませんでしたが、少年にとって、ちょっと嫌な時でした。

近くのおばあさんが、そんな少年たちのことを気にかけてくれ、大根やさつまいも、菜っ葉など軒先に置いていってくれることがありました。そんな時、少年は本当にうれしくなりました。おばあさんは畑を作っていました。少年はおばあさんの畑を手伝うこともありました。

そんなふうに何となく毎日はすぎていきましたが、少年も妹も少しずつ大きくなっていたのです。月日だけは、まわりに関係なく過ぎていくものです。

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