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機銃掃射 浜松市は、飛行場や軍事関係の工場がたくさんあったので、戦時中、敵機がよく来襲しました。 おそらく、日本でも有数の空襲を受けた所だと思います。 少年の家の近くに超真面目な友達がいました。そして、学校へ行きながら、よく、少年をさそいにきました。少年は最近、警戒警報や空襲警報がやたら出るようになったので、学校へ行くのにおっくうになっていました。でも、迷っていると、「サボると、先生に言いつけちゃうぞ。」と、いうので仕方なく一緒に出かけるのでした。 その日も、家を出、学校に着きましたが、着くとすぐ、警戒警報が出て、学校から帰ることになりました。警戒警報が出ると、下校になるのでした。ところが、この日は、それがすぐ空襲警報に変わりました。 警戒警報は長いサイレンの音、空襲警報は短いサイレン、そうなるとさすが緊張します。空襲警報は、もう、すでに敵機が来ていることを知らせるものです。少し前までは、空襲警報が出るまでには時間の余裕があって、家まで帰ることができたのですが、この日は全く突然でした。実際、敵機が近くに飛んできて、その飛行機が高度を下げ、少年たちをめがけてやってくるのに気が付 きました。さすがそれには驚きました。少年たちはあわてて木の影に隠れました。すると少年たちのお前方、数メートル先をダダっていう音とともに、銃弾が横に走り、砂煙をあげていきました。機銃掃射です。幸い、少年たちは命をとりとめたもの、もう少し遅れていたら、みんな死んでいたでしょう。死んで いった人の姿は何度も見ていましたから、死そのものには驚きませんでしたが、自分たちがそんな目に実際に会うとさすが変な気持ちでした。 でも、少年は何となく、たいして苦にもならないような気がしていましたが、それも変でした。 爆弾が落ち１０メートル以上の穴があき、その穴に水が溜まり、死んだ人が浮かんでいるのを、少年は見たこともあります。知っているおばあさんが空襲で丸焼けになり、小さな塊になっているのに も出会いました。木の先に人間の肉のかけらが突き刺さっているのを見て爆弾がすごいものだということも知っていました。 それほど、死は、少年にとってあたりまえのことになっていたのかもしれません。 |